私が本格的にパン作りを始めたのは50歳を過ぎてから。
趣味で通い始めたパン教室で焼き立てパンの美味しさを知り、衝撃を受けたのが始まりです。
作り始めた頃は焼けるだけで嬉しかったパンが、そのうちレシピ通りでもなかなか上手に焼けないことを知り、気温・湿度・材料の加減、ほんのささいなことで変わってくることを学びました。
いろいろな教室にも通い、どうしたら納得のいく美味しいパンが焼けるのか?
お家でも、家族が呆れるくらい毎日パンを焼き続け、配合を変え、材料を替え、
失敗や成功を繰り返しました。
自家製酵母のパンを焼くようになったのは、「大切な家族が食べるパンだから、
できるだけ添加物を加えたくない」という思いから。
自家製酵母でのパン作りは、特に気温や湿度に左右されます。
「昨日は納得のいくパンが焼けたのに、今日は同じにならない。なぜだろう?」
毎日が小さな発見の連続です。
『パンは生き物』
こうして私は、パンの世界の奥深さにはまっていきました。
以前、パン教室の先生が「パン生地が語りかけてくるよ」と、おっしゃいました。
なぜパン生地がしゃべる? と不思議でしたが、
いまではなんとなくその意味が分かってきたように思います。
私のパン作りは、まだまだ探求の途中です。到達点がどこなのかは自分でもわかりません。
いまでも新しい発見は続いています。
これからも、家族をはじめ、喜んでいただける方の笑顔が見たくて、私はパンを焼き続けます。
そんな『パンと私』の成長も、お届けするパンから感じて楽しんでいただけたら幸いです。